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古いデジタルカメラで写真散歩・寺巡り・歴史・仏教など…

補陀落渡海… この恐るべき信仰

補陀落渡海(ふだらくとかい)…

遠い海の果てにある観音浄土へ向う捨身行である。

紀伊の那智勝浦にある補陀落山寺、代々の住職はある時期になると「補陀落渡海船」といわれる船に乗り
遠くへ旅立つ、つまり「死出への旅」。

補陀落渡海船は、四方に鳥居が備え付けられ中央には小部屋があり、その中に補陀浄土へ向かう行者が乗り、
釘で周りを固められ、一度入ると船が壊れない限り二度と外に出られない。
やがて別の船で沖へ曳航され縄を切り離され、波に任され漂流が始まる。
船底には穴に栓が施されており、行者自ら栓を抜き船とともに生きたまま入水。。。。
中の行者は沈むまで経典を唱え続けなくてはならない。
まさに「生きたままの水葬」。

沖縄に残る古文書には、生きたまま琉球の地に流れ着いた者が数名、現地で熊野信仰を広めたり、真言宗の寺を創建した行者もいたそうです。
でもそれは本当に稀な例で、殆どの行者たちが海の底の沈んだことでしょう。

あるものは波で引き返され、瀕死の状態で浜に打ち上げられ、村の人々に叩き殺され
再び船に入れられ沖に流された例もあったという。
村人たちにとっても、本当に観音浄土へ旅立ってもらわないと仏罰が落ちると恐れられた為か。
現代の私たちにとっては、とても理解できない信仰…

釈迦は自ら命を絶つことに対しては否定も肯定もしていないといわれている。
しかし、飢えた虎の親子の為に自らの命を捧げた「捨身飼虎」という説話も有名だし、
少なくとも世の多くの人を救うための手段としてならば、自らの命を捨てるのも慈悲の道だということなのか…

私はこの捨身行を題材にした、井上靖の短編小説「補陀落渡海記」でこの信仰を知り、興味が湧いて
今から10年ほど前に和歌山の補陀落山寺を訪れたことがあります。

DSCF1253.jpg
補陀落山寺本堂

補陀落山寺の境内には、復元された「補陀落渡海船」が展示されています。
覗いてみると、その船室(といっても行者が閉じ込められる部屋ですが)の狭さに驚く。
こんな狭い場所に閉じ込められて浄土へ旅立った行者はどんな思いだったのか。

DSCF1252.jpg
復元された補陀落渡海船

その裏山には補陀落浄土へ旅立った歴代住職の墓があります。
墓といっても土の中にはその人たちの骨はないのですが、その墓標から得体の知れないような
気が湧き出ているかのように感じます。
写真を撮った後、背中に「ゾク」っとした感じが…
すぐにその「墓標」たちの前で般若心経を唱えて気持ちを落ち着かせ、逃げ帰ったことがありました。
やはりこういう場所には、軽い気持ちや興味本位では近づかないほうが良さそうですね。

DSCF1254.jpg
補陀落渡海した者たちの「墓標」

寺を出ての帰り道、和歌山の海を車窓越しに見る。

DSCF1255.jpg
那智勝浦の海(車からの撮影)

この穏やかな海を見ていると、遥か彼方には観音浄土が本当にあるんじゃないかなと考えた
人たちの思いがわかるような気がした。

「補陀落渡海」
そして自らの肉体をミイラにして土中に残す「即身仏」
衆生たちを救うためとはいえ、現代の私たちには到底思いつかないような凄まじい捨身行。

我が国の信仰の深淵に驚きを隠せません。


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  1. 2016/06/28(火) 23:04:23|
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